36 教育学文献学習ノート(33) 佐藤廣和『子どものなかの未来をつかむ 生活表現と教育』
(2023.2.25刊行 2023.3.22-2024.1.18通読 2024.1.18-19ノート作成) 身内に兄・姉がいない私ですが、30年間在職していた三重大学の同僚で、勝手に秘かに「兄」として尊敬し、頼りにしていた方が二人います。そのうちの一人が佐藤廣和氏です(もうお一方についても、いずれ書きます)。 佐藤廣和氏は1948年生まれ。私より6年年上です。京都大学教育学部に学ばれましたが、大学院から名古屋大学に移られたため、私は学部の後輩ですがすれ違いでした。ただ、1973年入学以来10年近く、京都府美山町の山村・芦生(あしゅう)を年数回訪問して複式授業を参観したり子どもたちとソフトボールやキャンプファイヤーをしたり、家庭訪問をしてお話を聞いたりする「京大京女大芦生グループ」の活動を続けてきた私にとっては、少し先立つ大学紛争・民主化闘争の時期にその芦生グループを創設されたメンバーの一人であった佐藤廣和氏は、あこがれの人でした。私のその後の大学院、神戸大、宮城教育大の時代には教育方法学会大会などで時々お会いして挨拶する程度でしたが、縁あって1989年に三重大学に赴任し、同僚となりました。廣和さんは(親戚ではないですが^^;ともに佐藤姓であることから、私たちは「廣和さん」「年明さん」と呼び合っていました。学生たちも「廣和先生」「年明先生」と呼びました)2013年春で三重大学を停年退職されましたので、私は23年間同じ職場で仕事をさせていただき、様々なことを学ばせていただきました。 昨年春、刊行されたばかりの本書を廣和さんからご恵贈いただきました。 本書の構成は、以下の通りです。 はじめに 第一部 子どもの発達と生活綴方 一 発達の疎外と人間的感性・感覚の回復 二 いま、なぜ書くことをだいじにするか 三 子どものなかの未来をつかむ 四 生活綴方による子ども把握の意味について 第二部 生活綴方・北方性教育の歴史的研究 一 北方性教育運動研究に関する一試論―研究の課題と教育実践史的方法の可能性について 二 生活綴方における生活指導の概念について―北方教育社・佐々木昂を通して 三 1938年生活教育論争 四 戦前生活綴方実践における文集の役割 五 佐々木昂のことばと表現 第三部 北方教育の教師群像 一 若き北方教師たち―教育史のなかの青年教師