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17 教育学文献学習ノート(29)岸本清明『希望の教育実践 子どもが育ち、地域を変える環境学習』(同時代社)

                           (2017.5.2刊行 2022.6.7-21通読 2022.6.27-7.20ノート作成)  岸本清明氏は1951年兵庫県生まれ。2011年に兵庫県公立小学校を退職されています。  私は1983.4-1986.9の3年半、神戸大学の教員(文化学研究科助手)でした。杉山明男教授のもと、文学を中心とする授業研究の修業?や学生指導のお手伝いをしていました。当時岸本先生は加東市内の小学校に勤務されていた時期でしたが、残念ながらお会いする機会がありませんでした。  岸本氏は、吉益敏文氏が毎月編集・発行して下さっている京都教科研通信の読者です。京都教科研通信第351号(2022年5月)に岸本氏のご投稿「通信350号を読んで 戦後教育学について」が掲載されました。その中で岸本氏は京都教科研2022年3月例会 (神代健彦編『民主主義の育てかた』所収の神代論文「教育的価値論」を検討しました) の神代氏報告と私の「指定討論」について感想を述べていただいています。このことについていずれお礼を兼ねて岸本氏に連絡させていただかなければと思っていたところ、今度は吉益敏文氏が、ご自分宛に届いた岸本氏のメールの中で、京都教科研通信352号(2022年6月)掲載の私の連載「神代健彦編『民主主義の育てかた 現代の理論としての戦後教育学』(2021) (その5)第8章 民主教育論-身に付けるべき学力として(中村(新井)清二) 【5回中の2回目】」について感想を書いて下さっているからというので、岸本氏のメールを私に転送して下さいました。そこで私は吉益氏にお願いして岸本氏のメールアドレスを教えていただき、お礼を兼ねたメールを出そうとしたのですが、そこではたと考えたことがありました。  岸本氏は(吉益氏が転送して下さったメールの中で)私が連載の中村清二論文検討 (この「教育学文献学習ノート」シリーズの(22-1)として書いた文章を再構成したものです。原文は本ブログの第3投稿⇒ https://gamlastan2021.blogspot.com/2021/09/322-2021.html ) の中で城丸章夫の「概括」概念について取り上げていることに注目していただき、次のように書かれています。私の文章について、吉益氏へのメールの中でお書きになっていることで

16 教育学文献学習ノート(28) 奈良教育大学付属小学校『みんなのねがいでつくる学校』(クリエイツかもがわ)

                             (2021.11.30刊行 2022.6.18-7.5通読 2022.7.7-7.8ノート作成)  私と奈良教育大学付属小学校との間には、ちょっとだけ繋がりがありました。三重大学教育学部に赴任して4年目の1992年度、同僚の森脇健夫先生との合同授業で学生を引率して奈良教育大学付属小学校5学年の倉持祐二先生の学級を何度も訪問しました。地元奈良市の近郊酪農家の仕事を取り上げた社会科授業の観察などから始まり、ちょうど第6期小学校学習指導要領全面実施の年で、5学年理科に初めて「ヒトの誕生」が登場した初年度だったこともあり、三重大生たちが授業プランを作り、倉持先生の「ヒトの誕生」授業の一部分を(いろいろ経緯があって学生がではなく)私が飛び込み授業させていただきました。私にとってはこれがのちに三重大学教育学部附属小学校4~6学年での数次にわたる「ヒトの誕生」授業実施につながるものとなり、思い出深いです。その後三重大学教育学部には奈良教育大学付属小学校から橋本博孝先生が赴任され、橋本先生が三重大学教育学部附属小学校校長となられた時には、校長提案で各教科バラバラだった附属小の学習指導案形式を統一していくための研究会が附属・学部合同で行なわれ、私も委員として参加して大いに刺激を得ました。橋本先生は定年退職後引き続き特任教授となられましたが、その後病気で急死されました。まことに残念です。  つい先日は関西教育科学研究会の研究会で奈良教育大学キャンパス内の付属小学校を訪ねました。たぶん倉持学級訪問以来30年ぶりだと思うので、懐かしいと思うような記憶は蘇りませんでしたが、休日の子どもたちがいない校内ながら廊下から教室をのぞくとなんだか楽しい気分になりました。「ああ、自分は学校を訪問することが好きだったなあ」と久々に思い出しました(今は大学へ出勤することはあっても、小学校を訪ねる機会が全くないのです)。  さて本書をいまなぜ取り上げるかというと、私も参加している「子どもを語ろう会」という研究会の次の例会(7/10)で取り上げられることになっているからです。年数回開催されるこの研究会の春の例会で次に取り上げると決まり、早々と入手していたのですが、次の例会が迫ってきて慌てて通読しました。一言で言って、とてもすばらしい実践報告書・実践研究書