57 animal welfareについて―2025教科研全国大会「道徳性の発達と教育」分科会・渡部裕司報告から考える―
1975年の伊豆長岡大会に初参加して教育科学研究会に入会してからちょうど50年となる今年の武蔵野集会にリモートで参加しました。大会2日目(8/7)の分科会は、いろいろ迷った末に2019年以来継続して参加してきた「教育課程と評価」分科会ではなく、「道徳性の発達と教育」分科会に参加しました。昨年秋以来数回、「道徳と教育」部会例会にリモート参加してきたことと、今大会「道徳性の発達と教育」分科会の「子どもの<食>から考えるケア・倫理・共同性」というテーマに関心があったからです。 分科会では基調報告の後2つの報告についてじっくり議論されました。一つ目の報告・谷中哲也「『こども食堂』に集う子どもと大人」も大変おもしろく、「子ども食堂」への自分の関心を強めるきっかけとなりましたが、ここでは二つ目の報告・渡部裕司(横国大附属鎌倉中)「中学校社会科で動物福祉について議論し考える実践」を聞く中で自分で考えたことを書きます。 最初に断っておきますが、この投稿は2025.8.7の渡部裕司報告自体を検討対象とするものではありません。 当日の渡部報告pptによると渡部氏は同実践について『子どもと自然学会誌26』(第19巻第1号 2024.3.31)に実践研究論文「中学校社会科地理分野における動物福祉を考える実践―『北アメリカ州』の工業式畜産に着目して―」として投稿されています。私は、まことに幸運なことに、同誌同号を所持しています。同じ号に実践報告を投稿された兵庫の岸本清明先生から以前にご恵贈いただいていたからです。ですから同誌掲載の渡部論文を精読して私なりのコメントを書くことは可能なのですが、それは後日の課題としたいと思います。 教科研大会「道徳性の発達と教育」分科会については、大会フライヤーに「中学校社会科で食と動物福祉を学ぶ」という報告テーマは記載されていますが、分科会で配付された渡部氏の報告資料や分科会での議論の内容を一分科会参加者である私の判断で公開設定しているこのブログの場で紹介することは適切ではないと考えます。また、 本投稿で私が(素人ながら)考えてみたいのは、animal welfareをいう理念を学校教育においてどのようにとりあげたらいいのかという一般論であり、渡部実践自体について意見を述べることではありません。 そういう経緯ですので、ここから...